海外における「事業」「経営権」「財産」の承継とは?

「事業承継」とは、経営者が長年築いてきたビジネスを、後継者に引き継ぐことを言います。



上記は、日本国内の事業承継で言われる考慮すべき3つのポイントです。


① 事業: 海外の事業や社長業を誰に、いつ、どのように引き継ぐか
 海外子会社が行っている「ビジネス」をいつ、誰に引き継ぐかです。最近ではご子息が継がない場合も多いので、誰を後継者にするかは国内であっても難しい問題ですが、社長様がやっている海外のビジネスはご子息が見たことも経験したこともないという場合も多く、そのような場合、ご子息への承継は至難の業になります。そうしますと、現地の責任者を後継者に育てるのか、それともゆくゆくは手放すのかということは前もって考える必要があります。


② 経営権:保有する海外現地法人の株式をどのように引き継ぐか
 
海外現地法人の株式の承継に関して、海外特有であると考えられるのは2つあります。
 ひとつは「外資規制」の存在です。海外では、その国のビジネスのプレーヤーが外国人ばかりにならないよう、業種によっては外国人が資本として参入できる制限を定めています。そのような状況では、現地のパートナーとの合弁企業や、現地パートナーの名義で株式を保有している場合があります。株式を後継者に譲る際には、当時の現地パート‐との取り決めや、最新の外資規制を検討して対策を考える必要があります。
 もう一つは、設立時と比べて自社株式が高くなっている場合があります。海外子会社の株価の算定は、日本と異なり、原則としてその時の価値で評価する必要があります。海外では土地の価格が高騰している場合があり、海外子会社が土地などを保有する場合、それが株式の評価に反映される場合があります。


③ 財産: 海外に保有する財産をどのように引き継ぐか(相続税)
 海外資産を保有する財産・債務の分配手続きは国の制度によって異なります。特に海外財産・債務については、日本にいるご家族がその全容を把握していない場合も多く、また分配手続きを現地の言葉でコミュニケーションを行い、書類を作成するのは至難の業です。
 また、海外の財産であっても相続の発生時には日本の相続税の対象になる、ならないがありますし、日本の税務当局も海外財産に対しては課税強化を進めています。

経営者が築いた財産が海外にもある場合、それを現地の法的にも「守り」、将来においてスムーズに後継者に承継できるよう事前に「備え」ておくことは大変重要です。