マレーシアの税制《キャピタルゲイン税・資産の譲渡に対する課税》

マレーシアに居住する方がマレーシア国内外に保有する資産を売却する場合、もしくはマレーシアに資産を保有する方が亡くなった際に相続・プロベート(プロベイト/ Probate)の過程で資産を処分する場合、マレーシアで課される税にはどのようなものがあるでしょうか。
 
1.  マレーシアのキャピタルゲイン税(資産等の譲渡益に対する税)
マレーシアでは、原則として資産等の譲渡益(キャピタルゲイン)に対しては、下記に記載するように不動産等にかかるものを除き課税されません。


マレーシアの居住者である場合、マレーシアの国内源泉所得(マレーシアで発生または起因する所得)に対して課税され、国外源泉所得には課税されません。


2.不動産譲渡益税(Real Property Gains Tax:RPGT)
マレーシアの不動産等を譲渡した場合、不動産譲渡益税の対象となります。

2-a.  
税の対象
・土地、建物、建造物、またはそれらに付されている権利等の譲渡益
・資産の大半が不動産であるとみなされるような会社(不動産主体会社)の株式を売却した場合の株式譲渡益

2-b.  
税率(2020年1月1日以降)


2-c.  免税
下記の場合において、免税枠が設けられています。

・ 個人の場合、10,000リンギもしくは譲渡益の10%のいずれか大きい額まで免税
・ マレーシア人、永住者が居住用の不動産を譲渡した場合、生涯で一度限り免税
・ 故人の不動産をその家族(配偶者、親子、祖父母、孫)が相続する場合、実質免税

2-d.  
譲渡益の計算方法
① 課税対象譲渡益 = 譲渡価格 ― 取得価格 + 付随費用
② ① – 控除額(上記cの10,000リンギもしくは譲渡益の10%のいずれか大きい額
③ ② x 税率

2-e.  
納税方法
〈買い手〉
買い手は譲渡対価の3%を源泉徴収のうえ、譲渡日から60日以内に税務署に売買契約書を合わせて申告、納付します。売り手が外国人または外国法人である場合、源泉徴収は譲渡対価の7%になります。売り手が免税適用を行う場合で、その申告書を売り手より入手した場合には源泉徴収の必要はありません。

〈売り手〉
譲渡日から60日以内に税務署に申告および納付を行います。免税適用を受ける場合は、申告書と合わせて免税をサポートする書類を提出します。

2-f.  
不動産主体会社の株式譲渡
会社資産の大半が不動産であるとみなされるような会社(不動産主体会社)の株式を売却した場合の株式譲渡益は不動産譲渡益税の対象になります。

・会社の有形資産の75%以上が不動産等で構成されている
・会社が50名以下の株主により保有され、かつ5名以下の取締役等によって支配されている

グループ再編等に伴う株式譲渡と認められる場合、免税を適用することが可能です。適用には事前の免税申請が必要です。


3.  印紙税(Stamp Duty)
印紙税は、不動産や株式の譲渡に関し作成する契約書等に対して課税されるもので、課税対象となる文書に印紙税が納付されていない場合、その文書は法的に有効ではありません。


3-a.  税率  
〈不動産の譲渡〉


〈株式の譲渡〉
株式の売買価額もしくは評価額のいずれか大きい額に対し、税率0.3
評価額は、下記①~③のうち最も高い額となります。
① 売買価格
② 株価収益率法(PER法)による評価額
③ 株式の額面

3-b.  
免税
一方が他方の会社に90%以上出資しているような関連会社間での資産の譲渡にかかる印紙税は下記の要件を満たせば免税となります。
・ グループ再編等に伴う関係会社間での資産譲渡
・ 譲受人がマレーシア企業であること
・ 譲渡資産は譲渡日より3年間は処分しないものとし、当該資本関係も譲渡日より3年間は維持する

3-c.  
納付方法
印紙税は、作成された文書の日付もしくはマレーシア国外で作成された場合はマレーシアで受領してから30日以内に納付します。

3-d.  
ペナルティ
納付期限に遅延して納付した場合、遅延の期間によりペナルティ率が異なり、最大で6ヶ月の遅延の場合、100リンギまたは200%のいずれか高い方のペナルティ額となります。